令和6年度 社明講演会
令和6年度社明講演会 金原明善と更生保護 令和6年8月26日(月) 講師・一龍齋貞花 氏 令和6年は、更生保護制度施行75周年を迎え、幾多の先人の永年のご苦労と ご努力で現在があります。 貞花氏の洒脱で軽妙な語り口に皆様多いに引き付けられ、引き込まれました。 昨年は明善没後100年を数え、天竜川の治水・植林等事業を通して地域に多大 な貢献と発展を寄与されました。 出獄した元中津藩士・川村矯一郎等より監獄の内情を認識し、その厳しい状況か らの脱却に伴う善導の必要から更生保護会・静岡勧善会を設立しました。 活動の導入として各監獄に教誨場を作り、刑務者への善導を開始したのです。 そうした折、静岡監獄に投獄されていた極悪囚人・呉作は、気持ちのこもった川 村典極の訓戒により今後に向けた改心に繋がりました。 10年に及ぶ刑期を経て出獄後に呉作は故郷に戻りますが、我が家では女房が 新たな亭主と子どもを設け、幸せな日々の家庭を築いていました。 どこにも帰る場を見いだせず、社会からも見放された呉作は生きる術を失い、遺 書を残して入水自殺を遂げました。 まさに、教誨が出所者に与える限界をいやおうもなく目の当たりにしたのです。 その後善導活動の改革として、教誨活動と併せた保護活動が開始されました。 創意工夫されたこの活動こそが、現在の更生保護に繋がる原点であります。 人の気持ちに寄り添い、更生保護概念への多くの方々の共感と支持を募る情熱 と覚悟が,不断の努力とともに明善には備わっておりました。 現在の安全安心な社会の確立のため、我々が今成すべき事柄と目標を実に分か りやすく説いて下さり、深く心に残りました。 最も大切なことは私共の心身の健康と、人を想い、心を傾ける利他の強い気持ち です。 |